特典航空券に利用した場合のマイル価値については、これまでに基準点となる水準と、路線・条件による上振れを整理してきました。
一方で、実務上は特典航空券が取れない、想定していた使い方をしない、といった理由で回収前提が崩れることもあります。
本記事では、その場合にマイル価値がゼロになるのか、あるいはどの水準へ下振れするのかを整理します。
下振れリスクとは何か
ここでいう下振れリスクとは、マイル価値が理論上低くなることではなく、想定していた回収が実現しないことを指します。
つまり、価値がゼロになる・損失が確定するという話ではありません。回収水準が、自分が置いていた前提より下にずれるという意味です。
特典航空券が成立しない主な理由
特典航空券が「使えなかった」という状況は、決して例外ではありません。代表的な理由は次の通りです。
空席がない
特典枠が出にくい状況
- 繁忙期
- 人気路線
- 直前予約
では、特典枠そのものが出ないことがあります。
日程が合わない
日程の自由度が下がる要因
- 仕事の都合
- 家族の予定
- 祝日・連休固定
日程の自由度が低いほど、成立確率は下がります。
必要マイル数の改定
必要マイル数が増えるケース
- マイルチャート変更
- 繁忙期加算
によって、想定していた必要マイル数が増えるケースもあります。
そもそも使う機会が来なかった
行動そのものが変わるケース
- 海外に行かなかった
- 想定していた旅行を取りやめた
特典航空券が取れないとき、マイル価値はゼロになるのか
特典航空券が成立しなかった場合でも、マイルの価値がただちにゼロになるわけではありません。重要なのは、想定していた回収水準が崩れたときに、どの水準へ着地するのかを整理することです。
下振れが起きたとき、何が起きるか
重要なのは、特典航空券が成立しなかった場合、マイルは消滅するのか・価値がゼロになるのか、という点です。
答えは NO です。
下振れ時に残る「現実的な使い道」
特典航空券が成立しなくても、マイルには次のような逃げ道があります。
① ANAスカイコイン/e JALポイント
- ANA:1マイル=1.5円相当
- JAL:1マイル=1.5円相当
制度上、比較的高い再現性で回収できる水準です。
② ANA PAY/JAL PAY等による日常決済
- 1マイル=1円相当
下限が明確な回収手段です。
下振れの本質
つまり下振れとは、価値がゼロになることではなく、想定していた水準から、どこまで落ちるかの問題です。
前提別に見るマイル価値の下振れ幅
ここでは、これまでに整理してきた前提を使って考えてみます。
北米水準(4〜6円)を前提にした場合
北米水準が成立しない場合の着地点
- → 1.5円(スカイコイン)
- → 1.0円(決済)
下振れ幅が大きい前提です。
ハワイ水準(3円台)を前提にした場合
ハワイ水準が成立しない場合の着地点
- → 1.5円(スカイコイン)
- → 1.0円(決済)
下振れはあるものの、想定との差はやや小さくなります。
国内線水準(約2.5円)を前提にした場合
国内線水準が成立しない場合の着地点
- → 1.5円(スカイコイン)
- → 1.0円(決済)
下振れ幅は最小です。
下振れリスクをどう織り込むか
下振れリスクは、避けるべき異常事態として考えるものではありません。あらかじめ起こり得るものとして捉え、どこまでの下振れを許容できるかを前提に組み込むことが重要です。
下振れリスクは「悪」ではない
ここで誤解してはいけないのは、下振れリスクは避けるべきものではないという点です。
重要なのは事前に理解しておくこと
- 自分がどの前提を置いているか
- 下振れたときに、どこまで許容できるか
下振れを織り込むという考え方
本サイトでは、年会費や回収を評価する際に、最良ケースと最悪ケースの両方を見ることを重視しています。
特典航空券における最悪ケースとは、マイルが無価値になることではなく、1.0〜1.5円水準まで下がることです。
結論|特典航空券が取れなくても回収がゼロになるわけではない
ここまで見てきた通り、特典航空券が成立しない場合でも、マイル回収が完全に消えるわけではありません。重要なのは、想定した価値が崩れたときに、どこまで下がるのかを事前に理解しておくことです。
本記事の整理
本記事で整理した3つのポイント
- 特典航空券が成立しないケースは珍しくない
- その場合でも、回収がゼロになるわけではない
- 下振れ幅は、置いた前提によって変わる
そもそも特典航空券でどの水準を前提として置くかは、
関連記事「特典航空券のマイル価値は何円か|国内線・ハワイ・北米で整理」
で確認できます。
この記事の結論
特典航空券の回収構造
- 成立すれば高い価値が見える一方で
- 成立しなければ、より確定的な水準へと回帰する
重要なのは、
どの水準を前提として評価しているのか、
その前提が崩れたとき、
どこまでの下振れを許容できるのかを
あらかじめ把握しておくことです。
この下振れをどう織り込むかが、
年会費という投資の合理性をIRR・BEPで
検討する際の現実性を左右する要素になります。
年会費・マイル・特典を
どのように切り分けて評価するかを、
全体像として確認したい場合は、
次の記事で整理しています。

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